東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅から徒歩約三分、木挽町仲通り沿いに蕎麦屋(銀座 長寿庵)がある。
昭和10年【1935】の創業。
「長寿庵」という屋号は、関東ではことのほか馴染み深い。
蕎麦屋といえば、更科、砂場、藪の三大暖簾が知られているが、「長寿庵」もまた、その数と広がりでは決して引けを取らぬ名跡である。
伝えられるところでは、元禄15年【1702】、三河から江戸へ出た惣七が、のちに京橋五郎兵衛町【いまの中央区八重洲あたり】で店を開き、それが「長寿庵」の始まりとされる。
その後、明治になると銀座へ移り、暖簾分けを重ねながら、江戸から東京へと町が姿を変えるのと歩みを合わせるように、その名は各地へ広がっていったという。
もっとも、いま「長寿庵」と名乗る店が、すべて一本の系図で結ばれているわけではない。
300年を超える歳月のうちには、地域ごとの独立や暖簾分け、あるいは縁あって屋号だけを受け継いだ店もある。
老舗の世界では、そうした来歴の揺らぎさえ、一つの歴史として受け入れられているのである。
(銀座 長寿庵)でまず味わいたいのは、「元祖」として知られる「鴨せいろ」であろう。
熱いつけ汁に鴨の脂がほどよく溶け、葱の香りが立つ。
その汁へ細打ちの蕎麦をくぐらせると、蕎麦の香りと鴨の旨味が重なり合い、江戸の昔から変わらぬ蕎麦屋の楽しみが、静かに口の中へ広がってゆく。
店の歴史は古くとも、その一椀のうまさは、いつの時代も変わらないのである。
飲み物メニューに値段表示なし。
せいろそば900円
きつね1000円
はいから長寿1200円
元祖 鴨せいろ「国産鴨肉」1400円
瓶ビール
燗酒 本醸造「菊正宗」一合瓶
「営業時間11:00~15:00・17:30~21:30/土・日・祝休」



